KAGEROU

いつの間にか古本屋で購入されていた『KAGEROU』を読みました。以下、感想です。ネタバレしますので未読の方は、ご注意ください。

いろいろと話題の作品だが、純粋に読んだ感想だけで書く。
何がしかの検索サイトからここに来た人が一番、気になるのは文章力ではないかと思う。その文章だけど、それほど悪くはない。決して下手ではない。もちろん、うまいとも言えない。少なくとも、知人にはもっとうまい文章を書く人が何人かいる。
一言で言えば、一文が長くてくどい。『涼宮ハルヒの憂鬱』を読んだ時も同じことを思った。書き慣れていな感じかな。

肝心の内容だが、自殺志願者を捕まえて、死ぬぐらいなら臓器を提供してくださいってことで話は進んでいく。とりたてて目新しい物はない。その分、安定感はあるといえる。大体、予想通りに話は展開する。作中でご都合主義のように思われる点、例えば全ド協の医学が進み過ぎなのではないかというような点だが、はそういう設定でとちゃんと説明しているので、いいんじゃないかなと思う。もしこれがダメならSFなんて書けなくなる。
あと、随所に散りばめられた寒いギャグなんだが、これもいいだろう。こういう事を言うキャラクターという設定なのだから。ただそれならもう少し、説明なりなんなりが欲しかった。少なくとも、行間で読み取るには無理がある。
オチだが、結局のところ、脳が肉体に優ったということだろう。まぁ、いいんじゃないかな。ただ、それなら茜のところに行って、二人しか知らない秘密を明かすのはどうかな。あの別れの意味が無いんじゃないかな。まぁ、偶然、生き返ったようなもんだからいいのかな。あと、秘密基地の地図を挟んだのはキョウヤということにしたいのだろう、きっと。
それよりもうちの本には最後のところで、文章の途中に紙が貼ってあった。おそらく最終校正も超えて本になったかその直前でミスに気づき、訂正のためにしかたなく紙を貼ったのだろう。これって全部の本がそうなのだろうか? だとしたらすごい労力だ。
まぁ、総合的に見て読みたいひとだけが読めばいいと思う。読みたくない人にまで、是非読んでくださいと勧められるほどの本ではない。
60点かな。

追記:
上記記事を書いた後に検索すると、次のようなニュースがあった。
(前略)
本文のクライマックス部分に展開を左右するほどの重大な訂正があり、ポプラ社社員が徹夜で借り出されシールを貼って対応したという箇所を、「発売日を守るためにやむを得ず訂正シールにより対応することといたしましたが、このような不手際がございました点深くお詫び申し上げます」とお詫びした。
(後略)
“お詫び申し上げます」とお詫びした。”ってどうなんだ? “お詫び申し上げます」と述べた。”とかでいいんじゃないか?

KAGEROU

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