骸の爪

以下、ネタバレするかしないか、まだわかりません。
前作、『背の眼』が面白かったので、文庫化を待たずに購入。ただし、今作は少しパワーダウンか。
何度も、ここでは書いているんだけど僕の理想とする作品は一点の妥協もない"ために小説"だ。すべてが物語の核になるもののために、妥協無くきっちりと構築された作品こそ、ミステリーとして価値がある。ただし、この"ために"というのは、諸刃の剣で、中途半端だと"こんなの思いついちゃいました"で終わってしまう。
で、この『骸の爪』はどちらかというと後者の域を飛び出していない。うまく、たくさんの伏線を張りそれを回収してはいるものの、どこか無理矢理、あるいは作者都合の臭いがする。
先日、本屋でランキング雑誌を見たのだがいずれも、作者別の得票数の一位は道尾さんだった。凄いことだと思う。だからこそ、徹底的に構築して欲しかった、と思うの読者の身勝手だろうか。

骸(むくろ)の爪 (GENTOSHA NOVELS)