分析

京極夏彦著『魍魎の匣』を読んでいる。最初に読んだのが20歳ぐらいだったと思うから約10年前。当時はとにかくおもしろく読んだように記憶している。でも今回、再読していて思ったのだが京極さんはそれほど文章がうまくはないな。まぁ、魍魎はデビュー2作目だから稚拙な点が目立つのもしかたがないだろう。でも昨年読んだ『邪魅の雫』でもそれほど文章がうまいと思うこともなかった。まぁ、美文と呼ばれる類のものではないだろう。
作中の謎の設定とその解明はなかなか悪くない。でもシリーズが進むにつれ少々、おろそかになっているような気がする。複雑な謎と魅力的な謎ってのは別物だと思う。
京極作品といえば作中で展開される膨大な蘊蓄だ。これはまぁ、いつも変わりなし。だたこれも好き嫌いがわかれるところで、少なくとも僕は蘊蓄目的でこのシリーズを読んでいるわけではない。
最後はやっぱり魅力的なキャラクター達だろう。登場人物一人一人で一作ずつ作れるんじゃないかという感じなんだが、まぁ、これはいいとしておこう。
結局、こう書いてくると自分がなぜ京極作品を読んでいるのかよくわからない。実際、妖怪シリーズ以外ももっているが途中で読むのをやめているものばかりで、つまりはおもしろいと思えなかったということだ。このあたりはシリーズものの強みだろうか。それほど読みたいわけではないのについつい気になって買ってしまう。一度、軌道に乗れば強いな。