子どもの王様

昨日、図書館で借りてきた。以下、ネタばれ感想です。
この作品、子供の日常がよく書けていると思う。例えば教室のシーン。ショウタが友人と話している描写なんか読んでいて自分の小学生時代を思い出した。これに対して-クライマックスシーンの-子どもの王様との対決なんかは非現実だ。現実味も何もない。いや、もちろん実際にありえないとは言い切れないんだけど、まぁ、現実的ではない。で、この作品、この現実と非現実をうまく混在させて書いている、という気がする。で、重要なのは現実も非現実もこの作品の内部では現実だということ。現実と非現実をうまく織り交ぜながらしかしどちらも作品世界では現実だというのが重要なんじゃないかな、という気がする。
となんか、真面目に書いてしまったが実は某所でこの作品を酷評しているのを目にした。殊能さん派としては何とか擁護したい。まぁ、その酷評していたページがどこだったか忘れたけど。
さて、話を戻すと、この作品はミステリーランドの一作だ。ミステリーランドは「かつて子どもだったあなたと少年少女のために」というのがコンセプト。「かつて子どもだったあなた」が読む分にはまぁ、問題ないだろう。じゃあ「少年少女」はどうだろうか。個人的な意見だが読んでもいいんじゃないかな。いや別に何の根拠もないんだけどひとつ言えるのは「作中で描かれる日常と非日常は作中では日常だ」と書いたがこれと同じように「作中で描かれる日常と非日常は作中では日常だが現実ではフィクションだ」ということ。つまり作り話だ。
とまぁ、とりとめのない感想だがおもしろかった。そうそう。ひとつ残念だったのは途中で子どもの王様=父親ってのがわかる点かな。まぁ、仕方がないといえば仕方がないがこの点がもう少し何とかなればラストにそれなりの衝撃があったんじゃないかなと思う。

子どもの王様 (ミステリーランド)

子どもの王様 (ミステリーランド)