『銀の檻を溶かして』

ふと見ると一冊の本が居間に落ちていた。カバーをはずすと『銀の檻を溶かして』と書かれていた。僕が買った本ではない。ただ、この作品がメフィスト賞受賞作だということはしっていた。ちょうど読む本を探していたのでこの本を読むことに決定。というわけで以下、感想ですがネタバレありです。
メフィスト賞受賞作だからミステリーだという思いこみはないものの裏表紙に「謎解きはあくまで本格」と書いてあったので少し期待していた。でもどうかな・・・。少なくとも本格というのは少し弱いんじゃないかというのが個人的な感想かな。文庫を読んだのだが謎解きに約60ページほど使われている。でもそれほど内容が濃いとは思えない。殺人事件という謎がありそれを解決するというだけで即、本格ではない。まぁ、全体から受けた感想としてはミステリー的要素を持つライトノベルかな。いや、実際にそういった類の作品を読んだことはないのではっきりとは言えないが、つまり登場人物とそのほかの出来事があって最後にまぁ、帳尻あわせというか辻褄あわせ的な謎解き、というよりも解決があり物語が終わる。本格物だと謎とその解決が最重要である意味、そのために書かれていると言える。でもこの作品は殺人事件が物語の重要な部分ではあるが中心ではないような気がする。まぁ、僕は自称“本格原理主義者”なので本格かどうかということに関してはちょっと厳しいのだが。あと気になったのは、文章。このシリーズは10作以上出ていて最新作ではどうなのか知らないがこの作品に関してはうまいとは言えない。特に「てにをは」に関して首をひねるところが多かった。それと文章の途中で挿入が多い。こういう文章が好きじゃない僕にはちょっと読むのが辛かった。ただどちらも自分が文章を書くときに常に心掛けていることなので目についただけなんだが。
他にも批判すればいろいろとあるんだが、誤解のないに言うと決して面白くなかったというわけではない。だって面白くなかったら最後まで読まないから。ということで。

銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖綺談 (講談社文庫)

銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖綺談 (講談社文庫)