『びっくり館の殺人』

買ったはいいがどうも読む気が起きずそうこうしているうちにあまりいい噂は聞かないという状況だったのでついつい先送りにしていたのだがやっと読みました。綾辻行人氏の館シリーズ8作目『びっくり館の殺人』。いかネタバレありですので気をつけてください。
さて率直な感想から書くと、まぁ、そんなに悪い作品ではなかったと思う。綾辻氏の特徴とも言える叙述トリックも効果的だったし物語全体の雰囲気も綾辻作品的ではあった。どこかで短編に使うようなネタを無理矢理、長編に使っているというような意見を読んだ記憶もあるが、まぁ、でもこのさくひんだったらいいんじゃないかと思う。というのはこの作品において、俊夫=リリカが犯人であるということがそれほど重要なことだろうか。
全部で348ページの物語のうち事件発覚と解決が288ページ以降。全体の約6分の1程度。ということはこの作品のメインはここではないだろう。
以前から漠然と思っていたんだがこの作品を読んで確信した。綾辻行人という人はホラー系ミステリー作家だろうな、やっぱり。単に好きなもの二つを融合させただけかもしれないが、でも厳密に本格推理ではないよな。いや『十角館』なんかはやっぱりいい本格推理小説だったと思う。ただしそれでも色々とつつきたい点はあるが。
でもまぁ、いいか。本格推理小説でもミステリーでもホラー系ミステリーでも綾辻行人という作家が好きな作家の一人であるということにはかわりはないし、今後も館シリーズが出ればたぶん買うということだけは事実だろう。でも『暗黒館』は持ってない。読んではいるんだけどね、連載時に。

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)