『月館の殺人』

えっと『月館の殺人』読了。『IKKI』紙上で連載された綾辻行人原作、佐々木倫子漫画のミステリー漫画。上巻が出たのがたしか1年前ぐらい。ということでいかで真相に触れると思います、たぶん。
舞台設定としては、まぁ、悪くない。しかし何というか、トリックには真新しいものはなくまた、犯人もそれほどひねられたものではない。綾辻作品のすべてを読んでいるわけではないのだが氏の魅力はなんと言ってもどんでん返しにある。しかしこの作品にはどんでん返し自体がない。まぁ、犯人が死んでいたというのはある種のどんでん返しであり、また第一の被害者だと思われていたら実は違ったというのもある程度の驚きには値するだろう。でも、はっきりいって物足りない。漫画というものの特性を使い切れていなかったような気がする。言い換えるとわざわざ漫画でしなくてもよかったんじゃないかと思う。で、こういった作品の場合、原作ってどこまでなんだろうか?綾辻さんは作家でありプロの原作者ではない。だからある程度の物語の筋を考えて細かいところは佐々木倫子さんが考えられているんだと思うんだが・・・。いや、佐々木さんの漫画に関しては文句の付け所はない。まぁ、個人的な好き嫌いの問題ではあるんだが。つまり普通に漫画として読む分にはまぁ、及第点というところだろうか。