『スイス時計の謎』

ものすごく久しぶりだな、読書のカテゴリーを使うのは。
さて、ふとしたきっかけから有栖川有栖著『スイス時計の謎』を読むことにした。といってもかなり以前に途中までは読んでいた。で、本を開いてみるとちょうど表題作「スイス時計の謎」を数ページ読んだところで止まっていた。そこで栞を外し再び最初から読み直すことにした。さて、感想だが、悪くない。しっかりと作られた本格推理小説だ。ロジックもしっかりしており近年の有栖川作品にしてはいいできだと思う。ただし、物足りない。何が物足りないのかというと全体的にだ。
有栖川作品で一番好きなのは『月光ゲーム』だ。この作品の謎解きもしっかりしている。で、どうしてもこっちと比べてしまう。となるとどうも物足りない。もちろん、短編と長編の違いはあるがしかし原稿用紙200枚ならもうちょっとがんばって長編にしたら?と思ってしまう。もう少しで傑作になったかもしれない作品だけにもったいなくて仕方がない。
ロジックだけで押し切る作品を書くのはすごく大変なことだ。しかしだからこそできるときにやっておかないと後で後悔するんじゃないかなと思う。さて、次は『モロッコ水晶の謎』でも読むか?

スイス時計の謎 (講談社ノベルス)

スイス時計の謎 (講談社ノベルス)