ミステリーとは。

最近、まじめにミステリーを読んでいないしましてや書いていない。だからもし書くとなればちょっと気合いを入れなくてはとを思いミステリーについて考えてみる。ただミステリーといっても多種多様なのでとりあえず一番好きな作品を例に取ってみよう。一番好きな作品はもちろん法月綸太郎著『密閉教室』だ。
さて、前に何かで読んだのだが確か綾辻さんの言葉だったと思う。ミステリーとは冒頭の謎、中盤のサスペンス、ラストの意外性が基本であるという−言葉は違うかもしれないが−内容の言葉だった。で、まずはこれに『密閉教室』を当てはめてみた。と、以下は『密閉教室』の内容に触れるので読みたい方だけどうぞ。
まず冒頭の謎だが、開かない教室と中町の死体。そして消えた机と椅子。なるほど確かに謎だ。しかも単に教室がのドアが開かないのが謎ではない。誰がいつ行っても簡単に開く学校の教室のドアが開かないというのが最大の謎なのではないだろうか。論の関係上、先にラストの意外性に触れると、一度は解決したはずの事件が意外な一言で一転する。しかも答えはすでに読者の前に提示されている。なんだが実はもうひとひねり。驚くばかりの意外性。これまたオッケー。とここまではいい。では次の中盤のサスペンスだが、消えた机と椅子の発見、大人達との駆け引き、クラスメートの告白や飛雲館事件の顛末と犬塚との格闘。サスペンスに満ちあふれている。と、ここまで考えてあることに気がついた。『密閉教室』はミステリー、いや推理小説だ。推理小説における中盤のサスペンスとは事件に関する推理過程じゃないのか?いや、正直に言うとここまで考えた時点で僕には中盤のサスペンスなんてものはどうでもよくなってしまった。今まで何度も『密閉教室』を読み『密閉教室』に関する文章を書いたのに今まで『密閉教室』には探偵役による事件の推理は一切ないということに気がつかなかったのだ。というわけで、もう一度『密閉教室』と『ノーカット版密閉教室』を読むことに決め夜中に部屋で探していると本が崩れ落ち、その中から見慣れぬ封筒が出てきた。中を確認すると初めてインドに行ったときの旅行代理店との契約書だった。あれは23の時だから6年前か。我ながら物持ちがいいというか、物を捨てられないというか・・・。
あれ、『密閉教室』の話はどこ行ったんだ?

密閉教室 (講談社文庫)

密閉教室 (講談社文庫)