キングを探せ

以下ネタバレ有ります
我らが法月綸太郎氏の特別書きおろし『キングを探せ』だが、まぁ、色々と評価はわかれるだろう。でも、流石と言うか、アクロバティックなパズラーでした。最終ターゲットをキングと見せかけ、実はジョーカーでした、何てところは流石の一言。まぁ、ある種、これを思いついた時点で勝ちってな感じなんですが。
まぁ、そのへんのことはいいとして、読んでいて思ったことがある。
推理小説安楽椅子探偵というものがある。最近では『謎解きはディナーのあとで』なんかが、安楽椅子探偵の形式をとっている。基本、安楽椅子探偵は、現場には出向かず、関係者の話を聞いて、事件を解決に導く。しかし、実際にはずっと安楽椅子に座っているわけではなく、現場に行き、重要なことの最終確認を行ったりもする。なので、終始、安楽椅子に座り続けているなんてこは、まれだ。
さて、今回の『キングを探せ』だが、綸太郎はどこにも行かず、ずっと安楽椅子に座っている。途中で、法月警視に誘われて、ドライブに出るのと最後のほうで、カラオケボックスに行くには行く。
思うに、きっと綸太郎本人は外に出て捜査に加わりたかったんじゃないだろうか? もっと、動きたかったんじゃないだろうか。そういうわけで、この作品は、強制安楽椅子探偵物と呼んでもいいんじゃないだろうか。それだけで、大したオチもないんですが。