安楽椅子探偵小論

新しく始まったドラマ「謎解きはディナーのあとで」を見た。原作は読んでいないので、的外れかもしれませんが。

安楽椅子探偵物において、最も重要なのは相談者と被相談者の関係である。相談者とはもちろん、事件について話す人物であり、非相談者は安楽椅子探偵のことである。
相談者は通常、事件に関わる立場にある。一番手っ取り早いのが、警察官だ。しかし、非相談者は警察関係者ではないことが多い。となると、事件に関することを話すのは守秘義務違反になる。しかし、それでも相談してしまうだけのなにかが非相談者にはある、というようにしないといけないと個人的に考えている。そしてこれがなかなか難しい。理想は都筑道夫の『退職刑事』だろう。親子という絆と、元敏腕刑事だったという肩書き。理想と書いたが、ほぼ唯一無二の設定なんじゃないかなと思う。
ということで、原作の『謎解きはディナーのあとで』がドラマと同じような関係性で特に深い設定もないのだとすると、もう一歩欲しかった、せめて執事の推理力を証明した上でってのがいいんじゃないかと思う。もしそうだったとしたら、さすがプロ、ってことで。
といっても、こんなことに拘る人間なんてほとんど、いないだろうな。