エンターテイメント

夕食後、借りてきた「ゴールデンスランバー」を見る。えー、先に言っておきますが、原作は読んでいません。なので以下は映画版を見た感想です。ネタバレ有ります。お気をつけ下さい。
序盤、中盤、終盤となかなかよかった。これは劇場で見てもよかったんじゃないかな、と思わせる作品だった。あとは、オチ次第。どうやってひっくり返すのか。今をときめく伊坂幸太郎の作品が原作なんだから、さぞ爽快なラストが待っているのだろう、と期待していると段々と怪しい方向に進んでいく。そしてまさかの、整形逃亡オチ。
確かに、何の力もなく後ろ盾もない一個人が、国家権力と戦ったても勝てるわけがない。だから逃げるが勝ち。それはよくわかる。でも、それって現実の話であって、エンターテイメントに当てはめるべきものなのだろうか。エンターテイメントは楽しませてなんぼ、じゃないのか。なぜ、死体が上がった時点で、名乗りでない? 慎重にやれば、ひっくり返せるぞ。
いかにして、カタルシスのあるオチを用意するか。しかも、今までの話と齟齬がなく、且つ現実離れしておらず、それでいて多くの人が納得するオチ。これが難しいから、小説を書くのは大変なわけで、逆に言えばその難題をクリアーできるから、プロの作家なのだと僕は思う。先に書いたとおり、原作を読んでいないので、そちらはそうであってほしいと思うしかないのだが。
もう一つ、難点を。最初のシーンが実は、事件の後で最終シーンでしたってのは、なぜそんなことをしたのか、まったく理解出来ない。後ろの制作者たちの、「どうこの伏線、わかった?」てなニヤケ顔が見え隠れするから、より始末に悪い。はっきり言って自慰行為にしか思えない、というのは本格原理主義者だからだろうか?
大部分が面白かったからこそ、オチに対する失望が強くなったのかもしれない。
最後に。今のところ、原作を読む予定はありません。どうも伊坂作品は相性がわるいみたいで、読めないんです。

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