『弥勒の手』

はい、以下ネタバレありです。
なんと今年初の読了本です。気がつけば活字拒否症になっていました。この本のおかげで少し回復? って感じです。
読後の感想としては、久しぶりに正統派の叙述トリックをもちいたミステリーを読んだなというところだろうか。ミステリーを読み始めて頃に、さんざんひっかかった手だが、いろいろな作品を読んできたからこそ逆に疑うことなく、あっさりとひっかかってしまった。何となく、懐かしい感じがした。
さて、作中でちょっと気になったことがある。まず、座禅という表現だ。これはよく使われているんだけど、実際には坐禅が正しい。業界では座禅という書き方は絶対にしない。
あと、六神通についてだけど、漏尽通は対峙した相手が煩悩を全て滅しているかどうかわかる、つまりはこの人は本当に悟っているのかどうかがわかる神通力だ。また天眼通、天耳通、神足通あたりの使い方もちょっと間違っているんじゃないかんと感じた。まぁ、その辺は話を構成する上での枝葉末節であって、特別重要でもないのでいいんだけど、少し気になった。ともあれ、さすが新本格第一世代という作品だった。
これを書いていてふと思ったんだけど、最近のミステリーあたりを読んでいる人にとって、この作品の仕掛けってどうなんだろうか? まぁ、そんなことはどうでもいいんだけどね。