『向日葵の咲かない夏』

なんとなく、ダラダラと読んでいたけど、ようやく読了。さて、道尾秀介氏といえばデビュー作『背の眼』が思いのほか、おもしろく、また、他の作品も高評価なので非情に期待して読んだ。しかし、その期待の割には・・・。以下ネタバレです。
法月さん曰く「奇妙な作品」ということで、また上記のように道尾さんの作品ということもあり、かなり期待して読んだ。まぁ、奇妙な作品ではあった。おもしろくもあった。ただ、読んでいる間中、ずっと気になっていたのはミチオの年齢設定だ。トカゲを妹とし、蜘蛛を友人とする。そういった空想世界というか、物語世界で生きる(もちろん、生活環境も影響しているんだろうけど)には20代や30代では少々、厳しい。しかし、9歳はいかがなものだろうか。いかに聡明であったとしても、9歳は9歳。作中のように行動したり物を考えたり論理を構築したりするのは可能なのだろうか。この点が唯一、ひっかかりを感じた。読んでいる途中は、最後に「実は・・・」というのがあるのかと少々、期待したが何もなし。これがマイナス点かな。
まぁ、それでも充分におもしろかったので、満足しているんだけど、別件で一つ考えたいことが。不可解な死とその謎を扱えばそれでミステリーというラベルを貼ってもいいんだろうか? 
まぁ、そんなわけで今度こそ『しらみつぶしの時計』を読もう。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)