『愚か者死すべし』

途中、DSを手に入れて逆裁4をやっていたので読むのに時間がかかった。
長編新作が出るまでに時間がかかる、というのには慣れている。法月綸太郎ファンだから。『生首に聞いてみろ』は10年ぶりの新作だった。そして本作『愚か者死すべし』は9年ぶりの新作、だそうな。でも、リアルタイムで追いかけていたわけではなく昨年末からの一気読み。デビュー作『そして夜は甦る』を読み始めて時点で『愚か者死すべし』はすでに発売後だった。以下、感想です。
今作から沢崎シリーズの第二期という事らしいのだがこれがよくわからない。確かに渡辺は前作で死んだ。また今作にはおなじみの錦織もいないし橋爪もいない。その他、いろいろと変化もある。でも、それは時間が流れているので当然だろう。だがいずれも第二期というほどの変化とは思えない。まぁ、間があいたことだし作者自身の気分の問題だろう。そうそう。本作最大の変化は携帯電話の導入だろう。携帯電話があれば沢崎は絶対に使うと思ったんだが、持っていなかった。そういえばちゃんと計算したことないんだが沢崎って今いくつなんだ。携帯電話を持たないのは使えないから、というような記述が随所にあったんだが。
感想に戻ろう。今回、読み終えて思ったのだが本作は所謂、ハードボイルドというジャンルに分類される。でも最後に必ず本格推理小説的要素がある。ここでいう本格推理小説的要素というのは所謂、どんでん返しだ。それでこのどんでん返しだがこれは普通、謎解きに伴って発生する。しかし原リョウ作品には名探偵による謎解きはない。いや、あるんだけどそれはいわば「謎解かれ」だと思う。積極的に謎を解くのではなく謎を解かざるを得ない。そんな感じがする。
まぁ、なんだ。要するにこの作品はおもしろかった。そういうことだ。

愚か者死すべし

愚か者死すべし