女王蜂

横溝正史著『女王蜂』読了。ちょっと時間がかかった。読んでいる途中で、初の横溝作品か、と思ったのだがよく考えると以前に『本陣殺人事件』を読んでいた。さて、以下ネタばれありです。
前記の通り横溝作品はほとんど読んでいない。テレビドラマで数作、見ているぐらい。この作品も恐らく映像化されてるんじゃないかなと思うんだがそうなると大道寺智子役は誰だったんだろうか、というのが気になる。と、今検索したら昨年の1月に稲垣金田一で女王蜂を放送していたんだな。まったく知らなかった。大道寺智子は栗山千明さんという方だそうだけどよく知りません。*1
そんなことはいい。本の感想だ。いつもの通り曰く因縁ありの旧家が物語の中心。これだけで充分、どろどろとした雰囲気が醸し出されるのはさすが、横溝というところか。作家としてのスタイルというか雰囲気を持っているというのはやっぱり強い。多くを語らずとも読者が理解するんだから。ただ所謂、本格推理としてはちょっと物足りないか。鳴らないはずの大時計が鳴ったり密室が登場したりはするがそれほど込み入ったトリックがあるわけではない。密室は抜け穴だったし。それでもダミーの解決と真の解決や死者の告白など仕掛けとしては充分すぎるほど充分だった。
新本格ムーブメントやその後の展開なんかがあって昨今は本格ミステリー黄金期だそうだ。でも、それでも横溝正史作品が映像化されたり読まれたりするのにはやはりそれだけの理由があるのだろう。今回でそれが充分わかった。おもしろかった。さて、次はどうするかな。

女王蜂 (角川文庫)

女王蜂 (角川文庫)

*1:こんなページを見つけた。