六枚のとんかつ

さて、先日から読んでいた蘇部健一著『六枚のとんかつ』を読み終えた。この作品、知っている人は知っているバカミス。いや、ミステリーではないという人もいるだろうからその場合はただのバカか。でも僕はそうは思わない。立派なミステリーだと思う。まぁ、もともとこういったたぐいの作品が嫌いじゃないく、また何故か人が貶す作品を擁護したくなる癖があるので、読む前からたぶんはまるんじゃないかとは思っていた。で、読み終えて最初に感じたのは、確かに少々、文章がヘタだと思うところはあったものの言うほどでもないじゃないか、ということだった。しかしあとがきを読んで初めて知ったのだがこの文庫版は大幅な加筆修正が施されているそうだ。となると元のノベルズが読みたくなるがそれは読めないから読みたいのだろう。ということでこの文庫版を読んだからといって六とん論争について何か言うことはできないようだ。ただ一つだけ。この作品は第三回メフィスト賞受賞作ということで、だからこそミステリーじゃないとかそういった批判があったんだと思う。ただ、もし今、この作品がメフィスト賞受賞作として発売されたらどうだろうか。たぶんミステリーかどうかという議論はあるだろうが、この作品が発売された当時ほどのものにはならないんじゃないだろうか。つまり設立当初はミステリーの新人賞だと思われていたメフィスト賞がエンターテイメント系なら何でもありの賞だと認識されたからだと思う。もともと募集要項にもミステリー縛りとは書いてなかったと記憶してるんだが。とにかく『六枚のとんかつ』はおもしろかった。ただ誰が読んでもおもしろいと思うタイプの作品じゃないので誰にも勧めない。
さて次は何にしようかな。久しぶりに何か新刊でも買うか?

六枚のとんかつ (講談社文庫)

六枚のとんかつ (講談社文庫)