ふたりの距離の概算

古典部シリーズ5作目。幾つかの謎解きが散りばめられているが、メインの謎はなぜ新入部員は入部しないのか、と言うもの。
以下、ネタバレじゃないけど、若干それに近いことが書いてあるので、未読の方は注意してください。
色々と小ネタがあり、それを解決しつつ、伏線がある。もちろn最後にしっかりと回収して、メインのネタの解決につなげる。この点に関しては、しっかりしている。細かいあらは探せばあるんだろうが、そんなものはどんな作品にでもあるだろうし、些細な事だ。引っかかるとすれば、動機じゃないだろうか。
犯人当てなんかでは、「動機は考えないものとする」という注意書きがある。確かに、心の中までは誰も覗くことができない。過去に何があってどうなってということは、隠されるとわからない。そんな不確定な情報を元にしては、論理的思考ができない。だから動機は後回しにされる。それでいいと思う。ホワイダニットなんてのもあるけど、やっぱり心の中はわからない。でも、なんというか、それなりの着地点というか整合性は求めたい。許容範囲内に収まって欲しいというか。とにかく、個人的には、この作品の動機に関しては「うーん」というのが残った、というのが読後の正直な感想だ。