愚者のエンドロール

古典部シリーズ2作目。
素人探偵役をいかに事件にかかわらせるか、と言うのはなかなか大きな問題である。特に殺人事件となると、なかなか難しい。普通に生きていて、殺人事件に巻き込まれ、そしてその犯人を探すなんてことは、経験できない。金田一少年の事件遭遇率はおそらく、奇跡的な確立じゃないだろうか。
しかしながらミステリーである以上、殺人事件は扱いたい。もちろん日常の謎を否定するつもりはない。
解決策としては、主人公を警察関係者か職業探偵あたりにするというのが考えられる。しかしながら、本作は若者向けのレーベルだ。ライトノベル系の募集要項には、主人公は中高生が望ましいなんて書いてあるところもある。
前置きが長くなったが、ごく普通の一般人をいかにして特殊な事件にかかわらせるか、という問題の解答として、この作品の設定は非常に素晴らしい。
前作『氷菓』は名探偵誕生のプロセスを書いていた。今作はその名探偵をいかにして事件にかかわらせるかを書いている。さて、次作は何を書いているのだろうか。非常に楽しみである。

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)