さよなら妖精

お盆休み前に大学の図書館で、『あきらめのよい相談者』と『さよなら妖精』を借りた。前者は、完全に期待はずれで、何故この作品が創元推理短編賞を受賞したのか、と思ってしまう。
期待はずれという意味では、『さよなら妖精』も同じか。ガッチリした本格推理小説が読みたかったので、この2冊を借りたわけだから。
推理小説かどうかということはさておき、読書の対象としては面白かった。面白かったけど、楽しみきれなかったと言うべきだろうか。
ところどころに日常の謎が散りばめられ、最終的にはマーヤの出身地はどこかという謎が、鮮やかにとかれる。これをもった、「ボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ」と銘打っているのだろうかど、ちょっと言いすぎじゃないかな。「ボーイ・ミーツ・ガール」まででいいじゃないか。話のアクセントとして、幾つかの日常の謎が扱われているけど、主眼はそこではない。あくまでも娯楽小説、青春小説なわけで、無理やりミステリにしなくてもいい。
もっとも、この作品を登場人物たちと同じぐらいの年齢で、少なくとも20歳ごろに、読んでいたらまた違う感想を持っただろう。倍できかない年齢のおっさんだから、一歩引いてしまったのかもしれない。『春期限定いちごタルト事件』のときもそうだった。
それでも、読みやすいというか相性が合うというか、とにかく引き続き、米澤さんの作品を読んでみようかと思う。

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)